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総入れ歯について
「総入れ歯」(そういれば)は、「全部床義歯(ぜんぶしょうぎし)」や、「総義歯(そうぎし)」、「FULL DENTURE(フルデンチャー)」ともいい、歯が1本も残っていない「無歯顎(むしがく)」のケースに適用となる入れ歯です。
総入れ歯の構造
総入れ歯の土台となる部分である「床(しょう)」は、アクリル樹脂(プラスチックの一種)を、歯茎のような色に着色して作られています。上顎用の総入れ歯も、下顎用の総入れ歯も、歯茎の上に乗り、主に「吸着力」と、「舌の筋肉」、「頬の筋肉」などで維持されます。基本的に、上顎用の総入れ歯は、床の部分が大きく覆う形状で、下顎用の総入れ歯は、U字型の形状をしています。「床」は、入れ歯の大部分を構成し、口腔内で入れ歯を安定させるための大切な役割を果たします。また、入れ歯の表面に細菌が付着することをできるかぎり防ぐという役割もあります。そして床には人工の歯が付いています。人工歯は「硬質レジン」(プラスチックの一種)や、「セラミック」が使用されます。
上顎の総入れ歯
上顎の総入れ歯。床の部分が大きく作られています。
上顎の総入れ歯は、下顎のように舌があるわけでなく、頬以外は大きく動きません、つまり下顎の総入れ歯と比較して吸着させやすい特徴があります。
ただ、吸着しやすいといっても、下顎と違う点は、重力の影響を受ける点です。精密な入れ歯を作らないと「落ちてしまう」というわけです。
つまり、重力の影響がある上顎の入れ歯を、可能な限り落ちにくい入れ歯に作る経験と技術が必要となります。
上顎総入れ歯のイラスト。広い床が特徴的です。
上顎総入れ歯を正面から見た写真。(自由診療の総入れ歯)
上顎総入れ歯の粘膜側から見た写真。
上顎総入れ歯を斜め横から見た写真。
下顎の総入れ歯
下顎の総入れ歯。下の動きの邪魔にならないよう、U字型に作られています。
下顎の総入れ歯は、これまで吸着力の発揮されるものを作ることは非常に難しいと考えられてきました。
しかし、総入れ歯が得意で、経験と技術のある一部の歯科医師は、下顎も吸着力を発揮し、浮き上がりにくい総入れ歯を製作しています。
下顎は吸着力を解除してしまうような要素が、上顎と比べて多いため、細かな入れ歯製作のテクニックが必要となります。
下顎総入れ歯。U字型の作りが特徴的です。
下顎総入れ歯の写真です。細部までこだわって作られています。(自由診療の総入れ歯)
下顎総入れ歯の粘膜側。(写真はアタッチメントの付いたタイプ)
下顎総入れ歯の人工歯。非常に精巧に再現しています。(自由診療の入れ歯)
上顎と下顎の総入れ歯
上下の入れ歯を、正面からの断面図で見たところ。入れ歯がどのように入っているかがわかります。
吸着力や、頬の筋肉、舌の筋肉など様々な要素で入れ歯を維持することがわかります。